3つのプリンシプル
Ethos / (Re)Connect / Emulate
バイオミミクリーは、持続可能性と人と自然とのつながりを取り戻すことを明確な目標とし、インスピレーション、アイデア、教育に重点を置いています。単に自然を模倣し、「経済的な成功に向けたより良い技術開発を目指す」という世界観とは一線を画しています。
実践的なイノベーションを生み出すために、専門の技術者だけでなく、生物学者、デザイナー、ビジネスの専門家などといった多様性のコラボレーションを意図的にデザインしていきます。何よりも人間主体だけのイノベーションにならないために、3つのプリンシプル(原理原則)を定めています。この3つのプリンシプルが礎となり、「生物模倣」という言葉を超えた「バイオミミクリー」の世界が存在しているのです。
Ethos:生命への態度
Ethos(イーソス/エトス)とは、バイオミミクリーを実践する理由、倫理観、意図、基本的な哲学、本質となる要素です。そもそも私たちはなぜバイオミミクリーを学び、実践していくのか?長きに渡り生命を育んできた自然界、生命に対する敬意と責任、そして感謝の気持ちが含まれます。自然の原理原則から外れる関わり方、イノベーションはバイオミミクリーとは言えません。バイオミミクリーの実践者は、地球上で生存・繁栄している種に見られる包括的な6つのパターンを理解し、自然と生命に対する態度と向き合い続けます。
(Re)Connect:つながりを取り戻す
人と自然は一見「別々」のように見えても、実は深く絡み合っているという理解を深めていく要素です。私たち人間は、自然と物理的、精神的に分断されている時代に生きているかもしれません。バイオミミクリーは、あらゆる分断から、つながりを取り戻していくプロセスとも言えます。深いエッセンスの部分からつながりを取り戻した時、私たちそのものが自然であることに気がつくことができるでしょう。(Re)Connectとは、自然とのRight relationshipを探り、深めるための実践と考え方です。次のEmulateを実践していく上でも、自分のつながりのパターンに自覚的になり、新しいつながり方を様々なレンズを使って意図的に見つけていきます。
Emulate:意識的な模倣
人間社会が持続的に地球にフィットしていくというビジョンを達成するために、自然と生物界に見られる原則、パターン、戦略、機能をデザインに反映していく要素です。特に、目に見える要素だけを模するではなく、より意識的に自然の叡智、世界に入り込み、注意深く観察し、選択していく事が必要です。近年、自然界の叡智を模倣していくという考え方は広がり始めていますが、具体的にどうやって実践していくのかという方法論はあまり知られていません。ここでは、「バイオミミクリー思考」のフレームワークを使った実践プロセスを体得していきます。
The answers to our questions are everywhere; we just need to change the lens with which we see the world.
Janine Benyus, Co-founder of Biomimicry 3.8
講演&ワークショップ
誰でも学べるバイオミミクリーの世界
誰でも参加できる公開型の講義ワークショップから、企業向けにカスタマイズした研修型、講演型など様々な切り口で学びの場をデザイン、提供して参ります。サステナビリティ、SDGs、サーキュラーエコノミーの文脈に重ねる形でバイオミミクリーの世界をより多くの皆さまに届けていきます。学生、子供たちに向けた環境教育、SDGs教育の一環としてもお役に立てると嬉しいです。どうぞお気軽にご相談ください。
【これまでの主なイベント】
フィールドワーク
自然と(Re)Connectする
バイオミミクリーの本質である自然と改めてつながる機会、場を積極的に創っていきます。五感を使った体験、好奇心からのつながり、知識としての学びを融合しながら、自然に対する認知やメンタルモデルが変わっていくことを意図していきます。海外のバイオミミクリー団体の多くが、定期的にイマーシブ(どっぷり自然のフィールドに浸かる)の場をコスタリカ、北米、アルプスなどで実施しています。
バイオミミクリー・ジャパンとしても、日本特有、その土地特有のエコシステムに繋がり、自然の叡智から学ぶ場をデザインしていく予定です。
一緒にコラボレーションしたい専門家の方々も大歓迎です。オンラインでの新しいつながりが生まれた時代だからこそ、リアルな体験をより積極的に創っていきます。
プロジェクト
協働・共創のイノベーションを支援
バイオミミクリーによるビジネスの課題解決、ソーシャルイノベーションなど、具体的なイシューをテーマにしたプロジェクトを支援していきます。日本初の事例、ケースを共に創りながら、世界に向けた発信にもつなげていきたいと思います。パイロット的なプロジェクトから、具体的な商品開発プロジェクトまで、気軽にご相談ください。
プロジェクトの事例
2021年から、「害蟲害獣の駆除から、予防へ転換」というテーマで8thCAL Inc.様と協働で、新サービス(予防モデル)のアイデア創出プロジェクトを進めております。バイオミミクリーの世界、生命をゴミとして扱わない共生社会への想いに共感してくれた12名の異業種メンバーで議論を重ねています。
また、外部の専門家にも関わっていただきながら、バイオミミクリーの醍醐味である専門性の重なりからイノベーションを生み出していくことを目指しています。
リソース
おすすめ書籍
バイオミミクリーの世界を学ぶ上で、おすすめの書籍をご紹介します。直接バイオミミクリーや生物学に関連するもの、大きくサステナビリティに関するもの、子供向けの児童書、そして自然とのつながりと倫理を学んでいく絵本なども含めて幅広くご紹介していきます。
バイオミミクリーの世界を学ぶ(日本語)
ビジネスからアカデミックな専門書まで幅広い領域
バイオミミクリーの世界を学ぶ(洋書)
日本語に翻訳されていない貴重な原書や最新書籍
子供向けの本から学ぶ
誰にとってもわかりやすく、大人も楽しめる児童書や絵本
サステナビリティの世界を学ぶ
なぜバイオミミクリーが必要なのか?を知るための書籍
※外部サイト「booklog.jp」に移動します。
おすすめ動画
バイオミミクリーに関するおすすめの動画です。海外での講演が中心となりますが、字幕入りの動画や自動翻訳機能も充実してきています。ぜひご覧になってください。
教育機関 / 団体
バイオミミクリーの概念をダイレクトに学ぶことができる教育機関は残念ながらまだ世界的に少ないです。学位が取れる教育機関も限られます。一方でオンラインで学ぶことができるプログラムも多く、世界中どこからでも学ぶことが可能な時代となりました。
Related Links
- アリゾナ州立大学(バイオミミクリーセンター)
- MS in Biomimicry / Graduate Certificate in Biomimicry
- ミネアポリス大学
- Biomimicry Program in Sustainable Design
- Biomimicry 3.8
- 世界有数のバイオインスパイアード・コンサルティング会社
- Biomimcry Institure
- アカデミックなリソースが充実した組織。ユース向けの教育にも力を入れている
- Biomimicry for Social Innovation
- 自然の原理原則からリーダーシップを学びやソーシャルイノベーションの世界を目指す